「よく来るの?こういうとこ」
特に、聞きたかったわけではない。ただ間をつなぎたかっただけだ。
「え?うーん、どうかな」
男はそう答えた。曖昧な返答を待つまでもなく、場慣れしたその仕草が十分すぎるほど物語っている。
「どうかなって、何?よく来るの、どうなの?」
聞きたいわけではない。請われるまま、男についてきてしまった自分の気持ちを誤魔化しているのだ。
「よく、ってわけでもないよ。…たまに、かな。気になる?」
男はまた、曖昧な答えを繰り返した。興味を持たれていることに満足しているようだ。
「別に。私だって、初めてってわけじゃないし」
嘘だ。私は生まれてこの方、こんな場所に足を踏み入れたことはない。
「そうなんだ?ふうん、見かけによらないね。」
いつもこうだ。真面目そうな風貌。大人しそうな容姿。私は、そんな自分が嫌いだ。
「いいから、早く決めてよ。どこにするの?」
変わりたい。変えたい。早く。今すぐに。
「まあまあ、そう焦るなって。こういうのは最初が肝心なんだよ」
苛立ちを隠せない私に、男はのんびりとそう告げた。どこに入るか、決めかねているのだ。真面目そうな自分の風貌と同じくらい、私は優柔不断な男が嫌いだ。
「どこだっていいじゃない。大して変わらないでしょ」
焦っているのだろうか。誰かに見つからないうちに。誰かに見られて困るはずもないのに、そんなことを考えてしまう。
「いやあ、結構難しいものなんだよ。どこに入るかで、楽しめるかどうかが…っと、ここだ」
男はようやく、一軒のビルの前で足を止めた。
「ここなの?」
気のせいか、道を行く人が皆こちらを見ているように思える。見世物じゃない。
「ああ、そうだよ。…本当にいいの?」
「いいって言ってるでしょ。早く」
ここまで来てなお、気を持たせて楽しんでいる。業を煮やした私は半ば強引に男の腕をつかみ、ビルの中へ連れ込んだ。
「ちょっとちょっと。なんだ、本当は早く入りたくて仕方ないんでしょ」
男のにやけ顔をよそに、衆目からやっと身を隠せた安堵感にほっと息をつく。
「まあ、ここまで来たら覚悟を決めなよ。大丈夫、素晴らしい世界が待ってるよ」
大げさな男だ。そう思いながらも、私は高鳴る動悸を抑えることが出来ずにいた。
未だ知らない、禁断の世界。どこかで憧れながらも、表面では拒絶し続けていた。それが今、すぐ目の前にあるのだ。
「ほら、ここだよ。ドア、開けてみる?」
挑発的な顔で、男はそう言った。今さら怖気づいているとは思われたくない。私は、
一歩前に出て、
ドアのノブに手を、
かけた。
男の手が重なり、力を込めたと同時にドアが開いた。
「おかえりなさい、ごしゅじんさま☆」
「ちょっと」
ユウキ
「ええとこの後は、ああなってこうなって…」
「ちょっと、聞いてるの?」
ユウキ
「うるさいなあ、今いいとこなんだから邪魔しないでくださ」
「ふざけるんじゃないわよ!!!!!」
ユウキ
「わあ。びっくりした。いやーひっさしぶりですねえ、加湿器子さん。何ヶ月ぶりですか?」
加湿器子さん
「そうねかれこれ4ヶ月ぶりくらいね、ってそんなことはどうでもいいのよ!!」
ユウキ
「もうそんなにたちましたっけ?そういえば前回はクリスマス前の登場だった気がしますね。冴えてきましたね、ノリツッコミ」
加湿器子さん
「どうでもいいって言ってるでしょ、そんなこと!!アナタね、人をバカにするのもホントにいい加減にしなさいよ!!」
ユウキ
「別にバカにしてるつもりないんですけど…何が言いたいんですか?」
加湿器子さん
「一体いつになったらラブシーンが始まるのよ!!」
ユウキ
「ラブシーンって何ですか?」
加湿器子さん
「またそうやってとぼけるつもりね…毎回毎回アナタのつまらない落書きを読まされてる方の身にもなりなさいよ!ただでさえ最近はサボってばっかりのクセに、もういいからさっさと続きのラブシーンを書きなさい!!」
ユウキ
「いやだってこのお話は、しょっちゅうメイド喫茶に行っているI君と、彼に誘われて初めて秋葉原に足を踏み入れた真面目な青年M君が、一緒にメイド喫茶に行くお話なんですけど」
加湿器子さん
「…」
ユウキ
「もしかして、何か違うこと想像してました?」
加湿器子さん
「…」
ユウキ
「もう、やだなあ。どんなこと想像してたのか知らないけど(笑)」
加湿器子さん
「なにが(笑)よ!!調子に乗るんじゃないわよ!!この(中略)!!」
ユウキ
「あっちょっと、それは言わない約束じゃ…」
加湿器子さん
「うるさいわね!!(中略)の時はいつも(中略)のクセに!!見損なったわ!」
ユウキ
「ああっ、もう本当に。勘弁してくださいよう」
加湿器子さん
「(中略)な顔して本当は(中略)だったのね!!悔しかったら、最近ブログの更新サボりまくりな理由を説明してみなさいよ!!」
まあ、こんなこと書いてる暇があったらギター弾けって話ですけどね。
仕事が忙しくてレコーディングが進んでません。
でも頑張ります。