剣の山

 

ふう…

やっぱりいいな、レコードは…

 

何を聞いてるの?

 

これかい?

John ColtraneのBlue Train、さ

 

ジャズって素敵ね…それになんだか、レコードって雰囲気がいいわね。

 

そうだろう、やはりアナログならではだよ。デジタルのCDや、ましてMP3などではとてもこの暖かみのある音は出せないね。

 

わたし、難しいことはわからないけど…でも、好きだわ。こういうの。

 

そう言って彼女は、ソファに座っている私の横へ滑りこんできた。そしておもむろに、私の手に少し火照った彼女の手を「ほらほら、もうそのへんにしときなさいよ!」

 

ユウキ「なんなんですか、もう!いいところだったのに!」

 

「何もかにもないわよ!何がジョンコルトレーンのブルートレインよ!気取ってんじゃないわよ!あんたさっきまでアニメ主題歌集の”翔べ!ダンバイン”を聞いて喜んでたじゃないの!」

 

ユウキ「や、やめてくださいよ!だいたい、一体全体だれなんですか、あなたは!」

 

「忘れたの…?忘れた、っていうの…?私の事を…」

 

ユウキ「どちらさまでしたっけ?」

 

「いいわ、思い出させてあげるわ…私こそは、あんたの脳内嫁の加湿器子さん(3台目)よ!」

 

ユウキ「…3台目…?」

 

「人呼んで、3台目加湿器子さんよ!今日から三代目と呼びなさい!」

 

ユウキ「脳内嫁、とは?」

 

「三代目にはツッコミなしなのね…まあいいわ、あんたの脳内だけに存在する嫁ってことよ!どうでもいいけど、ジョンコルトレーンのブルートレインって、ブルーハーツみたいね」

 

ユウキ「トレイントレインってことですか?心の底からどうでもいいですね。嫁にした覚えもないですしね」

 

「三代目加湿器子さん、見!参!」

 

ユウキ「あぶない!やめてください、剣山を振り回すのは!」

 

「久しぶりの登場なんだから、このくらいさせなさいよ!心のスキマ、埋めていくわよ!」

 

とりあえず今日はこんなところで…

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