海鳴り 第2話

遠く、

近く。

海鳴りは、聞こえ続けている。

誰かの声にも似たその響きは、

まるで自分の心の奥底深くから流れ出してくるようだ。

 

(伝えたいことが、あるんだ)

(君に、)

(伝えなきゃならないことが…)

 

止めるって…何を。

「あー!ゴメン、私もう行かなきゃ!これ、ここにコーヒー代置いておくね。じゃね!」

…。なんだよ。

(「止めてくれないの、って聞いてるの」)

止める…?

何を。

彼女の、結婚を?

今さら、

止める理由なんてないだろう。

彼女の気持ちに応えられなかったのは、僕なんだから。

彼女の挙式まで、

あと1ヶ月。

 

(続く)

 

 

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